3.11震災ボランティアコーディネーターを通して学んだ事 大友幸証
※この文章は、2016年4月の熊本地震で九州キリスト災害支援センターを立ち上げた際、3.11震災の経験から学んだことを大友幸証師に文章化していただいたもの。
3.11東北大震災の支援活動を通して学んだ事をとりあえずいくつか挙げます。
★ちなみに以下の文章に頻繁に登場する二つの言葉の定義です。
1. 「現場」
被災地内ボランティア、現地ボランティアコーディネーター含む。
※熊本地震の場合、「九州キリスト災害支援センター熊本支部」がそれにあたると思います。
2. 「ボランティア」
被災地以外の団体や教会から送られてくるボランティア。
★3.11震災時ボランティアコーディネーターと支援物資受け入れをして、ストレスに感じた事。
1. たくさんの質問。
(ア) 現場は、連絡や来客の対応、そして支援活動で1日が終わるために、落ち着いて客観的な情報を集める時間はない。自分は現場に張り付いていなければならず、精々3キロ範囲の事くらいしかわからなかった。その中で、東北広範囲における「必要」を知り得る事もできず、「何が必要ですか?」という質問に答えるのに苦労した。
(イ) 現場で働いている人の多くは、すべての事が初体験の初心者であり、支援活動のプロではないという事。
(ウ) 現場の人々は彼らが移動できる範囲の事しか知らない。
(エ) <対応>
① ボランティアサイドができるだけ情報収集をしてから行く。
② 現場にとって、密に連絡をとる事自体がストレスなので、質問は簡潔に。あとは自分で現場を見て考えて欲しい。
③ Yes No クエスチョンの方が答えやすい。
④ 現場はあらゆる種類のコーディネーターを立てると良い。
1. 支援現場コーディネーター
2. 物資受け取りコーディネーター
3. 外部対応コーディネーター
4. 統括コーディネーター
2. ボランティアの朝早すぎ、もしくは夜遅くの到着や連絡
(ア) 現場は寝る間を惜しんで活動している事を理解して欲しい。
(イ) <対応>
① ボランティアは朝9:00前, 夜8:00以降の連絡は避ける。
② 現場は、気持ちが焦っていても、日曜日と週に1日は必ず休みをとる。また休みの日を決めたら、その日の電話やメール対応はしない。
③ ボランティアもその休みを阻害しない。
3. チーム内のミスコミュニケーション
(ア) 現場は、次から次へと来る予想できないボランティアや支援物資の到着、もしくは焦る心で、どうしても目の前にある課題にしか目がいかず、それを片付けてしまうことでいっぱいになってしまう。そのために、それぞれがバラバラに動き、ミスコミュニケーションが増えて行く。
(イ) <対応>
① 現場は、チーム内のミーティングは、毎日必ず行う事。朝9時前には終わらせておき、朝9時以降は外部対応や支援活動に備える。この時間を惜しまない。
② クリスチャンであるならば、ミーティング中に聖書を一緒に読み、祈り、賛美する時間を意識的に入れ、キリストを中心とした支援活動をする。一致が保たれる。
4. 頻繁にくる「視察団」
(ア) 視察は今後の長期的な支援活動にとってはとても重要であることは理解出来る。しかし、災害直後は、現場は視察団に時間をとる事がなかなかできない。
(イ) 震災直後の、現場のニーズが日々変わっている状況の中では、視察をしてもそれを長期的な支援活動の材料にする事はできない。
(ウ) <対応>
① 視察団は少し時間をおいて、現場の状況が落ち着いてから現場とのやりとりをした方が良い。
② それでももし、視察団が現場に行く事があるならば、自分たちができる事をリストにして、現場にはYesかNoを言ってもらうだけにしてもらう。
③ ゼロベースで「何ができるでしょうか?」という質問はしない。